亡くなった父に会いに、娘と初めての帰省。

 飛行機に乗ると、ふと思う。機内モードって昔からあったんだっけ? どのくらい前のことか覚えてはいないが、以前は携帯電話の電源自体をOFFにしていたはずだ。それもそうだし、書き物をしたいときには、カバンからパソコンをごそごそ引っ張り出して、文字を打っていた覚えがある。いまはといえば、こうしてスマホで気軽に文章を書けるようになった。地味に時の流れを感じる。

 お盆ということで、実家の長崎へ向けて空を飛んでいる。隣には眠る娘を抱っこして眠る妻が座っている。スクリーンには、花火新時代と銘打たれたイベントの映像が流れている。またまたそんなこといって、誇大広告でしょうと眺めていると、たしかに見たことがないほど鋭く斜め方向へと打ち上がる花火が夜空を彩っていた。その何倍もショボい、小さい頃に家族で行った花火大会のことを思い出した。芝生にコオロギが大量発生して、座ってみていられなかったのも今ではいい思い出だ。

 それほど意識していたわけではないけれど、父が亡くなって、娘が生まれて、初めて娘を実家へ連れて帰る。飛行機がものすごいスピードで長崎に近づくにつれ、なんとなく胸の奥が騒ぎだす。そんな気がする。お墓のなかなのか天国からなのかで父は、娘の帰りをたのしみに待ってるのかな。やっぱり一目だけでも会わせてあげたかったな。

 でも、同時にこうも思う自分を見つけた。そんな感傷に浸らずとも、父は父で天国でたのしくやっていて、好きなときに僕らの様子を眺めていたり、こっそりと遊びに来ているのかもしれないな、と。なんか、それ、いいな。口元がゆるんじゃう。とまぁ、亡くなった人がどんなふうであったとしても、こちらは心をひらいていようと思います。待っとってね、お父さん。

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 きょうも読みにきてくださって、ありがとうございます。帰ってきてさっそく、食い道楽になっております(๑˃̵ᴗ˂̵) 


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深呼吸、深呼吸〜。
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末吉 宏臣

物書き、編集者。小説集『ブンガクフリマ 28ヨウ』に短編小説が掲載されています。年中無休まいにち夜の7時に小文を公開しています。いまより本気で人生と向き合うメルマガを月額400円で配信中です。ツイッターも:https://twitter.com/hiroomisueyoshi
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