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そんな一日。

土曜日。秋晴れ。畳の上に出来たひだまりに座る。窓をあけているとさわやかな風が勝手に入ってきた。すこしの肌寒さは朝の微睡みをといてくれる。

ヴィンセントは画廊の電灯を消した。

トルーマン・カポーティの「無頭の鷹」の書き出しを読みはじめた。いまにもはかなく壊れそうな繊細さを秘めた美文は秋の空気にぴったりだ。ページをめくる速度が落ちるが、それもまた今日というのんびりした日に相応しい。

物語を半分くらい読み進めた。文庫から目をあげて奥の寝室をのぞく。暖かな陽だまりで気持ちよさそうに眠る猫のような奥さん。すっくと立ち上がってベットに移動する。ごろりと横になって休憩がてら、奥さんの髪の毛を梳いた。

次の瞬間。薄い壁の向こう側で話しているようなくぐもった奥さんの声が聞こえる。と思ったら、いつの間にか眠ってしまっていたようで、彼女が電話する声で目が覚めた。ご両親と妹さんがうちの近くにやって来るようだ。

お風呂に入り身支度を整えて、家からすこし離れたカフェテラスへてくてく歩く。アイスコーヒーとりんごのタルトを注文。目の前の芝生の上を子どもと犬が元気に走り回る。都内にいることを忘れて軽井沢にいるかのよう。会話は雰囲気に似つかわしくなく投資のお話なども。

ご両親と妹さんと別れて、奥さんとふたりカフェ&バーへ移動。BROOKLYN LAGERを見つけて心が躍る。日本のビールよりも苦さが際立って旨い。奥さんとしばらく会話してからパソコンをひらいてnoteを書き始めた。目の前ではマリオとルイージに仮装した親子連れと、同じくマリオとルイージに扮した店員ふたりの4人で記念撮影。子どもたちの悲鳴もあがり、みんな一足早いハロウィンをたのしんでいるみたいだ。

そんな一日。

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なんだかんだ、人生うまくいく!
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物書き、編集者。年内フォロワー1万人を目指してます。応援よろしくお願いします。小説集『ブンガクフリマ 28ヨウ』に短編小説が掲載。ツイッター:https://twitter.com/hiroomisueyoshi
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