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夏のうしろ姿。

 もうそれほど暑くはない。まぁるいお目めに涙をいっぱいに浮かべて、わんわん泣く娘を外に連れ出した。時刻は夕方の5時まえ。歩いていても汗が出ない。頭のうえから変色がはじまった葉っぱが数枚パラパラと降ってきた。公園の木と木のあいだから見えた夕焼けは、夏のうしろ姿に見えた。

 今日は娘とふたりきりで過ごす一日。お昼を回ってぐっすりと眠る娘。すやすやと気持ちよさそうな寝顔を眺めていると、こちらまでうとうと眠くなってくる。どのくらい時間がたったのだろう。微睡む目をひらくと、リビングには夕方の気配がしのびこんでいた。

 妻の伝言どおりシャワーで体を流して、その隙に冷凍母乳をあたためる。ここまでは万事うまくいっていたのに、授乳でつまずいた。どうにもうまく飲んでくれない。哺乳瓶を吸うでなくはむはむと噛みつづける。一向におっぱいが減っていかない。何度かくわえなおさせるもダメ。これではラチがあかない。えーいと、娘を外へ連れ出す作戦に出たというわけだ。

 だけれど、そのおかげで夏のうしろ姿を見ることができた。家のまわりをぐるりと散歩をしながら、この夏の思い出をリピート再生。すこし気が早いかなと思いつつも、そうこうするうちに、もう間もなく秋がやって来る。秋は秋できっとたのしいことがあるんだろうなぁと未来に思いを馳せる。しかし、心の片隅に。今年もあと残り4ヶ月なんだと焦りも芽生えていた。

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 きょうも読みにきてくださって、ありがとうございます。季節の気配って、たしかに存在するんですね。

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サンキュー・ベリー・マッチ
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末吉 宏臣

物書き、編集者。年内フォロワー1万人を目指してます。応援よろしくお願いします。小説集『ブンガクフリマ 28ヨウ』に短編小説が掲載。自分らしく生きるためのメルマガを月額400円で配信中。ツイッター:https://twitter.com/hiroomisueyoshi
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