音楽が呼び覚ます、子どものころの記憶。

 華の金曜日。深夜1時過ぎ。僕は品川駅前でタクシーをつかまえた。乗ってすぐに、僕はメロディとともに口ずさむ。「少年時代の、見果てぬあの夢〜。いまでも、心に、抱きつづけてる。いま〜胸を熱く燃えたぎらせ〜。明日へ、明日へ、歩き出す」電源が10%を切ったスマホを取り出し、Googleの検索窓にこう打ち込んだ。「ドラゴンクエスト 見果てぬあの夢」

 深夜23時過ぎから始まるレイトショーで、『ドラゴンクエスト  ユア・ストーリー』を観た。そのエンディング近くであるメロディが流れる。僕はその音楽に聞き覚えがあった。それどころか、歌詞まで鮮明に思い出すことができた。でも一体、なんの音楽だったのかが思い出せない。そんなとき、Googleは、このYouTubeを教えてくれた。

 深夜のタクシーに揺られながら、なんとも言えない郷愁が僕を襲ってきた。知らない人には申し訳ないけれど、個人的に大好きだったアニメのことを久しぶりに思い出したからだ。『ダイの大冒険』。たしか保育園時代。母が働いていた美容室のソファーに弟とふたりちょこんと座って、この番組をよく観ながら母の仕事が終わるのを待っていた風景がよみがえってきた。アニメが終わるころちょうど母の仕事も終わって、美味しい夕食をたのしみに車に揺られて家へと帰った。

 小さいころに観たアニメや聴いた音楽というものは、記憶の奥深くに眠っているものだ。普段は思い出すことなんてないけれど、なぜか忘れられずに残りつづけている記憶というものがある。それはもう二度と戻らない過ぎ去った時間の懐かしさと寂しさの両方を僕らにもたらす。いやいや、そんな簡単に言葉でくくることのできない感情を、かな。部屋に戻った僕は、すぐにYouTubeで音楽を流した。隣に迷惑のかからないだろう程度に、大きめの音量で。そのほとんどの歌詞を覚えていて、口ずさむことができた。

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 きょうも読みにきてくださって、ありがとうございます。観た人たちの賛否は両論ですし、ドラクエをやったことがない人が観たときどんな反応になるのかわかりませんが、『ドラゴンクエスト  ユア・ストーリー』よかったです。


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なんだかんだ、人生うまくいく!
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末吉 宏臣

物書き、編集者。小説集『ブンガクフリマ 28ヨウ』に短編小説が掲載されています。年中無休まいにち夜の7時に小文を公開しています。いまより本気で人生と向き合うメルマガを月額400円で配信中です。ツイッターも:https://twitter.com/hiroomisueyoshi
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